研究のコンセプト

人が何かの活動に従事中、心身状態が内外の刺激によって影響を受けます。身に付けるモノや使うモノ、周囲の環境、他者とのコミュニケーション、自身の過去の経験によって、状態自尊感情や集中度合いが変わり、その結果として表出する行動が変わったり、特有の生理現象が生じます。こういった心身状態の変化は活動のパフォーマンスに影響します。

当研究室では様々な活動におけるヒトの行動・生理データをセンサデータや情報アクセス履歴等によって収集・分析し、その結果に応じたプロンプティングを行うことで、活動を最適化し、生活にウェルビーイングをもたらすことを目指します。

Research concept

1. 着装がもたらす心理的・生理的影響の利活用

被服心理学において、着装は着る人の幸福感を含む心理状態に影響することが分かっています。本プロジェクトでは着装がもたらす心理的・生理的影響をセンサによって計測し衣生活のサポートを目指します。服飾品がもたらす快適感や心理的効果を衣服内気候センサ・環境センサ・脳波センサ・活動量などから得たデータに機械学習モデルや深層学習モデルを適用して予測し、様々なTPO下において快適に過ごせる着装推薦システムを開発しています。

Utilizing psychological/physical effect by clothing

2. 生活コンテキストの自動推定

状況に応じた最適なプロンプティングサービスを実現するためには、「いつ・どこで・何をしているか」(コンテキスト)を自動で特定する必要があります。本プロジェクトでは人体やモノに取り付けたエッジ搭載加速度センサやGPSや屋内での3次元位置計測を可能にするビーコンのデータに機械学習モデルや深層学習モデルを適用してコンテキストを自動推定し、様々なプロンプティングサービスに適用する技術を開発しています。

3. 産業活動における開発資産利活用

企業における新規商品開発では、過去の開発資産を適切に再利用できれば開発時間を短縮できます。本プロジェクトでは過去の仕様書や設計書のテキスト分析・画像分析によって、新規商品開発時の参考となる過去資産の検索手法を開発しています。

4. その他、情報推薦手法など

上記の研究のほかにも、ウェブ上のファッション画像をディープラーニングモデルによって分析し、多様な衣生活ニーズに対応する着装推薦システムの開発や、価値観の固着を回避するために相反する価値観を緩やかに提示する情報推薦手法などを扱っています。